東女体大ヘッドライン 教職員と学生による学園情報ブログ!

平成25年度入学式 学長式辞

記事公開日:2013.04.08

 例年になく寒い日が続き東京にも大雪が降りましたが、ようやく待ちわびた春がやってまいりました。本日は多数のご来賓のご臨席を賜り、東京女子体育大学ならびに東京女子体育短期大学の平成25年度入学式を挙行できますことは、本学にとってこのうえない喜びでございます。本日、大学に389名の新入生と25名の編入生、また短期大学に164名の新入生を迎えることができました。皆さん、ご入学おめでとうございます。またご家族の皆さまにも心からお祝い申し上げます。

 本学は昨年創立110周年を迎え、さまざまな記念事業を行ってまいりました。今年は次の10年に向ってスタートする年となりますので、私たち教職員は新たな気持ちで皆さんを迎えているわけでございます。

 さて、今日は入学された皆さんには本学の建学の精神についてお話しし、大学で学ぶ意義について考えていただこうと思います。
 本学は西暦1902年(明治35年)、現在の文京区小石川に、私立東京女子体操学校として誕生しました。学校設立の目的は、現在で言う女子高校・女子大学にあたる高等女学校・女子師範学校として、女性の体育教師を育てることでした。当時、日本には女性の体育教師を専門に育てる学校がありませんでしたから、東京女子体操学校は日本で最初の女子体育専門学校となりました。第1回の卒業生は20人ほどだったと言われています。それから110年間、本学はたくさんの優れたスポーツ選手、体育指導者を世に送り出してきました。

 本学の建学の精神は、「心身ともに健全で質素で誠実、礼儀正しい女子体育指導者を育成すること」にあります。その本学の礎を築かれたのが藤村トヨ先生です。藤村トヨ先生の胸像がこの式場の外にありますから、後でご覧になってください。その横の石碑にはこう刻まれています。

「 腰伸ばせ。立つときにも、行くときにも、
 坐しても、臥しても、思慮のときにも、
 運動のときにも、腰伸ばせ、即腹の力 」

 あなた方が胸像の前を通るとき、トヨ先生はきっとこの言葉をあなた方に語りかけているはずです。立っていても、座っていても、どんな時でも背筋を伸ばして、美しい姿勢を保ちなさいと。
 美しい姿勢は気力の表れです。姿勢の美しい女性を見ると、その女性に凛とした精神的な気高さを感じるものですが、藤村トヨ先生の教えもそこにあります。美しい姿勢であるためには、お腹にある丹田に力を入れることが大事なのです。

 入学生の皆さん、起立してください。背筋をまっすぐ伸ばすためには、お腹の丹田に力を入れるのですが、丹田の場所はわかりますか。お臍の下三センチくらいの場所です。東洋医学ではここが気力の集中する中心だと言われます。
 丹田に力を入れて背筋を伸ばし、肩の力を抜いて真っ直ぐに前を見てください。そうです、素晴らしい姿勢ができました。そのまま腰を下ろして座ってください。藤村トヨ先生も、あなた方の姿勢をご覧になって微笑んでくださっていると思います。

 入学生の皆さんは、これから体育と児童教育を理論と実践の両方から学ぶことになります。そこでは理論が実践を支え、実践によって理論を鍛え直していこうとする姿勢が必要です。スポーツの技と技術には理論の裏付けがありますが、新しい技と技術が開発されれば、理論もまた新しく作り変えられていくものです。体育や児童教育についての理論を学ぶのは、机の上だけのことではありません。いつも実践や練習と結びついていなければなりません。高校までの勉強は、ともすると試験に出るから覚えるという意味合いが強かったかもしれませんが、大学で学ぶ知識と技能は、あなた方が就きたい職業にとってなくてはならないものです。今のこの勉強が、今のこの練習が社会に出て役に立つのだと自覚して主体的に取り組んでください。

 本学には優れた先生がたくさんいらっしゃいます。オリンピアンの先生も、オリンピアンを育てた先生もいらっしゃいます。本学には2回のオリンピックに出場された先生が二人いらっしゃいますからご紹介しましょう。お二人とも本学の卒業生です。
 まずお一人は新体操の秋山エリカ先生です。秋山先生は、ロサンゼルスオリンピック・ソウルオリンピックの日本代表として出場されました。秋山先生は、本学出身のオリンピック選手を何人も育てていらっしゃいます。もうお一人はソフトボールの佐藤理恵先生です。佐藤先生はアテネオリンピックで銅メダル、北京オリンピックで金メダルに輝きました。お二人の先生はあなた方の先輩でもあり、あなた方にとって力強い味方です。これから授業やクラブでご指導いただくことになりますが、将来の進路等についても親身になって相談に乗ってくださるはずです。

 でも、何より強い味方は、今日ここに一緒に入学式を迎えた仲間たちになります。「人間、一人では何も出来ない」と言われますが、仲間としてよきライバルとして強い絆を育て、一緒に困難を乗り越えてください。皆さんの中には、2年前の大震災で被災し、大変な思いをしながら今日の入学式を迎えた仲間がいます。これからの2年間と4年間を互いに支え合い、協力し合って過ごしてください。私たち教職員は、皆さんが夢と希望を実現できるように一生懸命応援します。

 学生時代は、さなぎの時代と置き換えることができます。空を舞う蝶は、蝶になる前にさなぎの時代を過ごします。蝶になるための準備期間です。あなた方もさなぎのようにじっくりと力を蓄え、大きく美しい羽を作ってください。2年後、4年後にあなた方ひとりひとりが美しい蝶になって社会に向かって飛び出していくことを期待しています。本学の桜も国立市の桜並木も満開です。校舎の窓からは日本一の美しい富士山が見えます。あなた方の行く先には希望の光があふれています。

 終わりになりましたが、ご家族の皆様、藤栄会の皆様、ご来賓の皆様、東京女子体育大学、東京女子体育短期大学の発展のため、限りないご指導ご支援を賜りたくお願いいたします。私たち教職員は一丸となり、学生と共に一歩一歩努力しつづけることをお約束し、式辞といたします。


  平成25年4月3日
  東京女子体育大学
  東京女子体育短期大学
  学長 加茂 佳子

写真提供: 麻布・松尾写真館

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