中学・高校から大学に至るまで、自分自身の興味関心に合わせ体育・スポーツ活動を行ってきましたが、大学時代のスポーツ行政での学びを通してその必要性を(少し)理解しました。インターハイ・国民スポーツ大会・オリンピック競技大会はもとより、生涯スポーツとして日常あたりまえのようにスポーツを行うこと、さらには怪我をしたときの保険に至るまでスポーツ行政の関与無くしては成り立たないことを、大学卒業後に教員や役人として働くなかで経験・学んできています。そして、現在もスポーツ活動を通して地域住民を始めとする多くの人々がより豊かなスポーツライフを享受することのできるスポーツ環境を整えることの重要性を感じているところです
当ゼミナールでは、スポーツに関する一般的な知識・常識?について学びますが、今現在スポーツ・体育の世界で起こっていることに着目、新聞記事やネット情報等を参考にはするものの、それら情報を鵜呑みすることなく自身の考えを持つと共に、客観的にスポーツ事象に対応できる力を養っていきたいと考えています。そして、スポーツの抱える課題について明らかにし、それらの解決に向けた糸口を探したいと思います。
スポーツという身体活動は、様々な価値を内在しており良いイメージがついて回ります。そのイメージを全面的に否定するモノではありませんが、多くの課題を抱えていることも事実です。クラブ活動等におけるいじめや体罰、指導者の行き過ぎた指導、ドーピングを始めとする不正行為など課題は山積です。それら課題に対しどのように対応していくことが求められているのか様々な事例をもとに考えます。その他にも、スポーツに関わる過去から現在までに起こった事例や、今後スポーツ界において想定される内容について、具体的な記事や世論調査のデータなどをもとに考えます。
ともすれば学生は一般論・正論・正解を導き出そうとする訳ですが、ゼミナール担当としては独創的な意見も期待しています。様々な意見の中から自分自身の考えを見つけ出す作業も楽しいと思います。
この他にも年に複数回、全くゼミナール内容と関係の無い?活動を行います。オリンピック関連施設の見学(視察?)や、レクリエーションの一環としてボーリング等を行ったりしたこともあります。メールを始めとする一方通行ともなりかねない人間関係ではなくFace to Face本当の意味で双方向性が必要となるコミュニケーションをゼミナールでも取り入れています。人間としての幅を広げる意味でも様々なことに興味関心を持つことも大切と考える所以です。
東京五輪後に大きな問題となった五輪関係者の収賄事件からも明らかなように、現代のスポーツはお金と切っても切れない関係にあります。そのような時代だからこそ、スポーツの価値が金銭を生み出すとか名誉のためだけではなく、スポーツは面白いから、楽しいから行うということを一番の価値として捉えておきたいものです。自身の子どもの最初の指導者であるとともに、次世代を担う子どもたちの指導者、教員はもとより成人から高齢の方に至るまで全ての国民を対象とすることのできる指導者となる可能性を持つ本学学生には、スポーツを愛する心・スポーツを大切にしようとする心である「スポーツマインド」を身につけて欲しいと考えます。
そして、全てが受け売りではなく、自身の言葉でスポーツの魅力・価値を語ることのできる社会人となって欲しいと思います。そのためにも間違えることを恐れず自身の考えを発信し、他者と協働してスポーツ活動や社会に貢献できる人材となって欲しいと考えます。
早瀬健介、1962年 岐阜県生まれ
東京女子体育大学・東京女子体育短期大学 教授
日本体育大学大学院体育学研究科(修士課程)
主要学科目はスポーツ行政学・スポーツ原理
2023.06.19
2024.07.29
2024.06.15