令和6年4月3日(水)、藤村総合教育センターにて『令和6年度 東京女子体育大学・東京女子体育短期大学 入学式』を挙行いたしました。
大学 体育学科 232名、大学3年次編入学 12名、短期大学 こどもスポーツ教育学科 31名、合計 275名の新入生を迎えました。
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。大学進学に向けて一生懸命に取り組んできたことと思いますが、その努力に対して敬意を表します。また、温かい愛情を持って皆さんを支えてこられた、ご家族の方々をはじめ、関係するすべての皆様に心よりお祝い申し上げます。
世界的大流行となった新型コロナウイルス感染症は、昨年から5類感染症になり、ようやく通常に近い生活が戻ってきました。高校生活最後の1年間は、今まで自粛していたことから解放され、以前より充実した高校生活が送れたのではないでしょうか。
収束の兆しを見せながら、多くの爪痕を残したコロナ禍ですが、なにか我々人間に大切なメッセージを残していったような気がしています。それは、合理的で効率的なことばかりに目を向けず、人と人とが直接触れ合う人間社会の大切さを忘れてはいけないということだと思っています。
コロナ禍以前はスマートフォンなどを駆使すれば、直接人と会わずとも事足りると思っていました。私たち人間の目はカメラと同じで、耳はマイク、口はスピーカーなど、まるで機械で置き換えられるような気がしていました。しかし、他人との接触が自粛されると、改めてビデオ通話と直接人と会うことの違いに気づきます。例えば、実際に人と会うと、自分の首を動かし視線を変えただけで、友達の横顔が見えてきます。赤ん坊に触れればその肌の柔らかさを感じ、特有の香りがします。つまり、私たちは五感を全て駆使して直接人と触れ合っていたのです。「AIが人間を超える日が来る」などと話題になる中、当たり前のことに気づかなくなった人間社会に対して、コロナ禍は警鐘を鳴らしたのかも知れません。
また、長いコロナ禍は、他人とのコミュニケーションの取り方にも影響を及ぼしているようです。リモート授業の影響で友達の作り方が分からないという声も聞こえてきます。対面授業になっても、改めて友達の作り方を考えると、悩んでしまうこともあるようです。しかし、本日この入学式に集まっている新入生たちは、今までの高校時代の仲間から離れ、新たな出会いを求めている人たちです。知らない人と人をつなぐ最初のきっかけは、「おはよう」「こんにちは」という挨拶ではないかと思っています。何かを語ることもない、決して難しくない、こんな挨拶程度のことが、仲間をつくる最初の切っ掛けになるのではないでしょうか。
さて、本日より東京女子体育大学、東京女子体育短期大学の学生となったわけですが、本学の歴史は古く、その創設は明治35年(1902)年であり、すでに120年の歴史を経て新たな歩みを進めているところです。日本初の女子体育教師養成学校としてスタートした本学は、時代を経ながら教員養成はもちろんのこと、体育・スポーツの持つ素晴らしさを世の中に発信できる女性リーダーを養成することを目指しています。特に体育大学はトップアスリートの集団というイメージが強いですが、実際には自分の専門スポーツをさらに極めようとするアスリートもいれば、全く新しいスポーツに挑戦する学生もいます。また、母校で後輩の指導に励む学生や、スポーツをする人たちをサポートする学生もいます。
スポーツを「する」世界は、決して自分一人で結果を出せるほど単純ではありません。「見る」「支える」という人たちも必要であり、そういう女性が一堂に会するのが本学なのです。
是非、勇気を持って色々なことを試し、多くの仲間と知り合い、考え方を学び、有意義な学生生活を送ってください。そして、素晴らしい人間として成長することを期待して、式辞といたします。
入学、おめでとうございます。
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