1編では、山崎さんと佐藤さんに児童養護施設での実習内容について聞いてみました。2編では実習中の嬉しかったことや大変だったことを聞いてみたいと思います。
〇嬉しかったことを教えてください
山崎 施設には、2歳の女の子がいました。まだ未就園児なので、一番長く時間を過ごしたんですけど、とても、なついてくれる子でした。ドライヤーがすごく嫌いな子で、お風呂上りに、職員の方が「ドライヤーをしよう」って声を掛けても「テレビ見たい」、「遊びたい」と言って、髪を乾かそうとしなかったのですが、私が声を掛けると、「お姉さんとならやる!」と言って、いっしょにドライヤーをしました。それがとても嬉しかったです。また、最終日に、年長の男の子に「お姉さん、ここの職員になってね」と言ってバイバイしてくれたのが、とても印象に残っています。
〇年長の男の子とのエピソードはありますか?
山崎 私がよく、2歳の女の子と遊んでいるのを知っていたので、お姉さん、その子と遊びすぎっていわれたり、実際に私の隣の取り合いで喧嘩することもありました。その時は対応に困ったのですが、嬉しかったです。
〇佐藤さんの嬉しかったこと教えてください。
佐藤 私は小学校1年生の子と関ることが多かったのですが、ある日、「お姉さんちょっと来て」といわれて、ついていくと、手紙とプレゼントを渡してくれました。また、中高生とのことですが、最初は全く馴染めなくて、一言も話せなかったんですけど、終盤の9日目になって、話しかけてくれるようになりました。後の振り返りで、職員の方から聞いたのですが、「今回の実習生はいいね。」って言ってくれていたみたいなんです。それがとても嬉しかったです。
〇中高生が心を開いてくれるように心掛けていたことはありますか?
佐藤 職員の方との振り返りの中で、中高生との関わりがなかったことを反省し、もっと積極的に関わりに行く必要があるのか、離れた方が良いのかに悩み、相談しました。すると、「自分から離れてしまうのはよくないよ。でも、無理して関わろうとする必要もない。毎日一緒にいて生活をすれば大丈夫。同じ空間にいることで、だんだんと馴染んでくるから。」とアドバイスをいただきました。なので、自分から離れることも、関わりにいくこともしないで、そこに居ることを大事にしました。そしたら、9日目になって向こうから話しかけてくれたんです。その時はすごく嬉しかったです。
〇大変だったことを教えてください
山崎 大変だったのは、家庭的な施設だからこそ、当たり前のことなのですが、掃除が多かったことです。6時半に出勤したら7時の朝食までは、お風呂、トイレ、階段、玄関の掃除でした。特に朝からトイレ掃除をすることに、大変さを感じました。また、子ども同士の関わり方の援助が難しかったです。家庭的で温かい雰囲気の施設でしたが、職員の方から「他人同士であることは忘れてはいけない」とご指導いただきました。生活の中で年長の子、1年生の子、3年生の子が兄弟のように仲良く遊んでいて、その様子を見ていると、戦いごっこに発展し、どんどん、加熱していきました。そういう時にどのように関わると良いか、子ども同士の距離感を保つことに難しさを感じました。
〇子ども同士の距離感を保つため時に、心掛けていたことはありますか?
山崎 戦いごっこの場面でいうと、声を掛けても聞いてもらえなかったので、違う遊びを提案するようにしました。なので、普段から、観察したり、一緒に遊びながら、一人一人どのような遊びが好きなのか、知るように心掛けました。この時はポケモンカードが好きな子たちだったので「一緒にポケモンカードで遊ぼう」などと、誘うようにしていました。
〇佐藤さんは大変だったことありますか?
佐藤 私も掃除が大変でした。後は一つ、グサッと胸の痛くなる出来事がありました。寝かしつけのときに、幼児さんの寝かしつけをすることになり、既に寝かしつけをしていた職員の方と交代することになりました。私がその子に「交代するね」と声を掛けると、「お姉さんは嫌だ」って言われてしまいました。職員の方が良いというのは、もちろんわかっているのですが、この時は胸が痛くなりました。
今回は山崎さんと佐藤さんに実習中の「嬉しかったこと」、「大変だったこと」を聞いていきました。最終回では、「実習を通して学んだこと」や「1年生や高校生へのメッツセージ」を語ってもらいます。乞うご期待。
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