教務部長 小林 福太郎
未だに収束の兆しが不透明なコロナ禍に対して、本学では教職員の地道な努力と協力により教育活動を大きく後退させることもなく継続してきました。
私は本務の傍ら小学校や中学校等に出向くことがありますが、大半の学校では本学同様に教職員の組織的な取り組みで未曾有の危機を乗り越えようとしています。
そのような中で、懸念される動きもあります。それは、最近になって「ようやく教育活動が元に戻りつつあります!」という安堵に満ちた学校の声です。
私はかねてからコロナ禍が収束しても、教育活動の全てを元に戻すべきではないと考えています。もちろん、時代を越えて取り組むべき効果的な活動の復活と継続は急務です。しかし、一方で遅々として進まない教育活動の抜本的な改善やスリム化を実現していく絶好のチャンスが到来したともいえます。
教育活動の改善・充実を図る際、教育課程の見直しは学校の方向性や在り方を決定づけるため、極めて重要なアプローチといえます。折しも本学では、令和7年度から始める新たな教育課程を策定しています。それは新しい学習指導要領で学んできた学生たちに適した指導を展開していくことはもとより、これからの社会に求められる人材を育成する体育大学として、魅力あふれる教育を実現していくためです。さらに、その実現は多くの大学が抱えている喫緊の課題である学生募集にも効果が発揮されることは言うまでもありません。
かつて、東京大学名誉教授であった心理学者の東洋先生は、「学校焼却論」という表現で改革の難しさを言及していました。それは、学校の改革を実現していくには十年に一回、学校を燃やしてしまうほどの相当な覚悟が必要であるという比喩的な見方です。本学においても長きにわたる教育の成果を踏まえる一方で、コロナ禍を追い風としてこれまでの取り組みを一旦燃やして、新たな教育課程をゼロベースから構築していく視点を持ち合わせていくことが求められているのかもしれません。
[写真:小林先生の授業の様子(模擬授業)、卒業研究発表会の様子]
目標4:すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5:ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標16:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
2023.06.19
2024.04.24
2024.06.15