東女体大にはさまざまなゼミが存在します。今回は、生徒指導の観点から学びにアプローチをしている出張ゼミをご紹介します。
本ゼミでは、教職を目指す学生に必要な資質・能力を高めるとともに、小学校、中学校、高等学校の各校種における生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等を研究しています。
生徒指導の仕方は時代とともに変わっていきます。それをふまえて、どのように児童・生徒に働きかけたらよいのかを考えます。出張ゼミには教員を目指している学生が集まるので、基本的に真面目で、何事にも一生懸命です。学生たちは明るく、笑顔を忘れずに、協力しながら和気あいあいとゼミ活動に取り組んでいます。
昨年度はコロナ禍で受け入れをしていただけなかったのですが、出張ゼミでは、外部教育機関に出向き、学ぶ機会を積極的に設けています。
大学のすぐそばにある東京都多摩教育事務所へ出向き、多摩地区の教育の現状や生徒指導上の課題について話を伺ったり、施設見学をしたりしました。あるときは認定NPO法人育て上げネットにて、若年支援事業について話を伺いました。愛光女子学園という女子少年院に行ったこともあります。
これらの取り組みを通して、自分の価値観だけでなく、いろいろな事情がある児童・生徒がいることを肌身に感じて、教職に就くうえでの視野を広げてほしいと思っています。
教員になる学生には、以下の4つのことを備えてほしいと願っています。
1つ目は、教育に対する熱意と使命感をもってほしいということ。具体的には、子どもに対する深い愛情、それは、教員としての責任感と誇り、そして高い倫理観と社会的常識です。
2つ目は、温かい心、柔軟な発想や思考力、幅広いコミュニケーション能力を備えた豊かな人間性と思いやりです。
3つ目は、子供の良さや可能性を引き出し伸ばすことができる先生です。一人ひとりの良いところや可能性を見抜く力、教科等に関する高い指導力、そして、自身も常に学び続けることが大切です。
4つ目は、組織人としての責任感、協調性をもち、互いに高め合える先生です。学校組織の中での自身の役割を自覚し、学校をより良くしていこうとする経営参画への意欲をもってほしいと思います。
学校を取り巻く環境は、社会状況の変化に伴い、常に変わっていきます。その中で大切なのは「愛」です。「教育愛」、「児童愛」、「生徒愛」、「学生愛」。その思いをもって児童・生徒と向き合う先生になってほしいと考えています。
出張吉訓
1957年、東京都品川区生まれ。東京女子体育短期大学保健体育学科教授。
筑波大学農林学類生物応用化学専攻卒業。学士。
東京都立高校教諭を経て、東京都教育庁において、長く教育行政にかかわり、指導部長・教育監を歴任。
本学では、教職、生徒指導など、教職に関わる教科、教職論、生徒指導論を担当。
2023.06.19
2024.04.24
2024.06.15