今回は、学生時代に陸上競技円盤投げを専門として活動し、卒業後の今も競技生活を続けている社会人3年目の粟津 彩弥さんにインタビューしました。
年度初めの競技会では自己ベストを記録し、さらにパワーアップしています。そんな粟津さんに、働きながらも現役選手にこだわる理由や、スポーツの素晴らしさについて語っていただきました。2回にわたってお伝えします。
粟津 彩弥 さん
東京女子体育大学体育学部体育学科 卒業
現在、東京都私立高校に非常勤講師として勤務
私は小学校からスイミングスクールに通っていました。中学では水泳の強化のために長距離をやるつもりで陸上部に入部しましたが、長距離選手だった姉に「持久力よりも力がある」と助言をもらい砲丸投げを体験したところ、投てき種目の魅力に気づきました。向上心が芽生えて2年生から陸上一本に絞り、専門の円盤投げに転向したのは高校1年の冬からです。
大学を選択する際には、円盤投げの専門指導を受けたいという思いが強くありました。いくつかの大学で迷いましたが、後にも先にも女子だけの世界はないと考え、そこで陸上競技にしっかり向き合うと決めて東京女子体育大学を選びました。
投擲ブロックの仲間たちと佐々木先生との1枚 右端が粟津さん(大学4年時)
大学では、日常のトレーニングはもちろんのこと、円盤投げに関する文献や記事を読み漁りました。また実技の授業でもためになることが多く、特に新体操の授業で先生から教わった「軸の話」は私の技術トレーニングにとても役立っています。
3年生からはバイオメカニクス研究室にゼミ生として所属し、力学的な研究手法から運動するときの力の発揮の仕方や、力の伝わり方など動作分析を学びました。自分の好きな競技に関連する問題を学問として研究することが楽しくて、ずいぶん勉強したように思います。多方面からの知識を蓄えながら自分の練習に向き合うことは、体育専門大学ならではの活動だと思いますし、好きだからこそ深められると思います。
学生時代には特に大きな大会に出場することができなかったこともありますが、自分の競技力としての結果には満足できませんでした。ですから卒業の時点で競技を続けると決めていました。好きで選んだ円盤投げという競技を自分なりに極めたかったですし、私の中で誇れる事実として突き詰めたいという思いがあったからです。
投げの動き自体も、まだ体を使い切れていないという問題意識があり、それが現役を続ける動機になっていると思います。
〈後編に続く〉
2023.06.19
2024.04.24
2024.06.15